株式会社ユー・エス・エス/上田写真製版所 ブログ

文字校正
2025/12/5

◆校正で押さえておきたいチェックポイント⑦ 引用と出典の確認ポイント

引用と出典の確認ポイント

要約

社内報や広報誌では、外部情報や発言を引用する機会が多くあります。
出典が不明確だったり、表現をそのまま転載してしまうと、信頼性の低下や著作権トラブルにつながるおそれも。
引用ルールと出典表記を正しく確認することは、校正の重要な役割のひとつです。


💬 はじめに:引用チェックは「信頼性」を守る工程

こんにちは。
東京文京区 護国寺の、文字校正が得意なデザイン会社・株式会社ユー・エス・エスです。

社内報や広報誌では、「外部セミナーの紹介」「行政・業界団体の発表」「他社事例の引用」など、社外の情報を扱う場面が少なくありません
そのため、出典があいまいだったり、引用元の文章をそのまま転記してしまうと、読者に誤解を与えたり、信頼性を損なう原因になります。

さらに、社内インタビューや社長・社員の発言を引用する場合でも、発言者名や肩書き、発言時期の確認が欠かせません。
社外情報・社内情報のどちらであっても、「情報の出どころを整える」ことは校正の重要な役割です。

校正では、単に誤字脱字を見るだけでなく、情報の出どころを確認し、適切に示すことが求められます。
今回は「引用と出典」をめぐる基本的な校正ポイントを整理します。


🔍 1. 引用文・数字・出典を明確にする

引用の出典が不明確だと、読者は「この情報はどこから?」と不安になります。
特に数字データや調査結果は、出典元を明記することが信頼の条件です。

✏️ 校正例1:出典不明の数値
NG
本文:社員満足度は前年より15%上昇しました。

OK
本文:社員満足度は前年より15%上昇しました(※社内アンケート2025より)。

👉 数字データには、必ず「何の」「どの時点の」情報かを添えます。

🗞️ 2. 外部メディアやサイトからの引用は“引用符+出典”が原則

Web記事や新聞からの抜粋では、引用符(「 」または “”)と出典の明示が基本です。

✏️ 校正例2:出典を付け忘れた引用
NG
本文:性別に見ると、年に1日以上のスポーツ実施率は女性よりも男性の方が高かった。

OK
本文:性別に見ると、年に1日以上のスポーツ実施率は女性よりも男性の方が高かった(厚生労働省 令和6年度「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」より)。

👉 一般的な表現でも、出典をもとにしている場合は出典を添えましょう。

🧾 3. 発言引用・コメント紹介の際は、肩書きと日付も忘れずに

インタビューや講演記録を引用する場合は、発言者名・肩書き・発言時期を必ず確認します。
情報が古くなっているケースや、役職変更後の混在も見られます。

✏️ 校正例3:肩書きの誤り
NG
本文:「社員一人ひとりの発想が組織を動かす」と、田中社長は語った。

OK
本文:「社員一人ひとりの発想が組織を動かす」と、田中雅也取締役(当時)は語った(2024年経営方針発表会にて)。

👉 校正では、「今の肩書き」か「発言当時の肩書き」かを区別して確認します。

🧩 4. 引用元の意図と本文の“ズレ”に注意する

外部の調査データや行政資料を紹介する際にもっとも多いミスが、引用元が述べている内容と、本文での表現がズレてしまうことです。
出典を添えるだけでなく、“引用の意味が正しく伝わっているか” まで確認することが欠かせません。

✏️ 校正例4:引用元と本文のニュアンスのずれ
引用文(出典)
「運動習慣がある人は、ない人に比べて仕事への活力得点が高い傾向にある」(スポーツ庁『スポーツの実施状況等に関する世論調査』より)

NG
本文:運動習慣のある人は、仕事の成果が大幅に向上しています。
👉 引用文は“活力得点の傾向”を述べているだけ。本文は“成果向上”と“因果関係”に飛躍しており、意味が変わってしまっている。

OK
本文:運動習慣のある人は、仕事への活力が高い傾向にあるとされています。
👉 引用元の意図に沿った記述で、過度な解釈や断定を避けられる。

🪶 5. 引用の分量と要約のバランスも確認

他者の文章をそのまま掲載する場合、必要最小限にとどめることが大切です。
要約や書き換えで意味が変わっていないか、校正の段階で再確認しましょう。

✏️ 校正例5:引用が長すぎるケース
NG
本文:以下、書籍『働き方改革の未来』より抜粋。――(200字以上の引用)

OK
本文:同書では「柔軟な働き方の実現が生産性向上の鍵」としています(『働き方改革の未来』より要約)。

👉 引用部分が長いと著作権リスクが高まります。要点を要約+出典記載が安心です。


✅ チェックリスト:引用・出典まわりの校正ポイント

項目チェック内容
出典数字・調査結果に出典が明記されているか
引用符外部文章に引用符が付いているか
発言者情報肩書き・発言時期が正確か
分量引用が必要最小限に抑えられているか
書き換え要約や再構成で意味が変わっていないか
一貫性出典表記の書式が統一されているか(例:「より」「出典:」など)

💡 まとめ:正確な出典は信頼の証

社内報や広報誌は、社外にも閲覧される「公的な発信物」です。
どんなに内容が良くても、出典や引用に曖昧さがあると、発信全体の信頼性が損なわれます。

校正の段階で、

  • 出典・引用元を必ず確認し、
  • 肩書きやデータを更新し、
  • 書式を全体で統一する。

この3つを徹底することで、媒体の説得力が格段に高まります。


💬 FAQ(よくある質問)

Q1. 出典が明記されていない資料はどうすればいい?
A. 信頼できる出典が確認できない場合は、使用を避けるか、社内で再確認を依頼しましょう。

Q2. 社内資料や社内調査の場合も出典が必要?
A. はい。「社内アンケート2025」「営業データ分析チーム調べ」など、出どころを明示しましょう。

Q3. 英文出典の場合、原文のままでもいい?
A. 原則OKですが、表記は統一を。例:「Source: Ministry of Health, Labour and Welfare (Japan)」など。


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