株式会社ユー・エス・エス/上田写真製版所 ブログ

文字校正
2025/11/18

◆校正で押さえておきたいチェックポイント⑥図表・キャプションとの対応

校正で押さえておきたいチェックポイント⑤図表・キャプションとの対応

こんにちは。東京文京区 護国寺の株式会社ユー・エス・エスです。

社内報の校正で見落とされがちなのが、文章以外の情報──つまり図表・写真・キャプションです。
図表は「本文の補強情報」のように扱われますが、読者にとっては本文と同じ“記事そのもの”。
本文が正しくても、グラフの値やキャプションが間違っていれば、読者は記事全体の信頼性に疑いを抱きます。

しかも現場では、

  • 本文だけ更新され、図表が旧版のまま残る
  • 画像が差し替わったのにキャプションが旧文章のまま
  • 用語・数値・単位だけが別ルールで表示されている
    といった「構造的に発生しやすいミス」が頻発します。

校正の役割は、誤字脱字を直すだけではなく

「読者が誤解なく受け取れる状態」
に整えることにあります。
図表・キャプションまで含めた整合性確認は、その核心に位置します。

本文だけ直して図表を忘れる——これが一番危険

図表・キャプションは、本文と独立して作られることが多く、
「本文を直したのに図やキャプションが古いまま」というミスが頻発します。

実際の制作現場では、

  • 図表だけデザイナーが別で差し替える
  • キャプションだけ別ファイルで管理されている
  • 本文修正に気を取られて図表に意識が回らない

といった“分断”が起きやすいもの。

しかし読者にとっては、本文・図表・キャプションは ひとつの情報
どこかひとつでも古い、誤っている、説明がズレていると、
記事の信頼性全体が損なわれてしまいます。

だからこそ校正では、
本文→図表→キャプション→本文に戻る
のように、必ず往復しながら“整合性”を見ることが重要です。


よくある崩れ方(実務で起こる典型)

  • 本文の修正に図表・キャプションが追従していない
  • グラフと本文の数値に差異がある
  • 図表タイトルと本文で用語がずれている
  • 写真キャプションが旧情報のまま再利用されている
  • 単位(%/人/千円など)の表記だけが別ルールで残っている

これらは「誤植」とは別の種類のリスクであり、品質管理の問題として読者に受け止められます。


✏️ 校正例1:本文とグラフの数値不一致

Before
本文:今年度の売上は120億円となりました。
グラフ:売上高=118億円と表示

After
本文:今年度の売上は118億円となりました。
グラフ:売上高=118億円

👉 一方だけを直してもう一方が取り残される、実務で非常に多いケース。必ず「二面照合」で確認。

✏️ 校正例2:キャプションの置き去り

Before
本文:新社屋落成式を実施しました。
写真キャプション:旧本社前での集合写真

After
本文:新社屋落成式を実施しました。
写真キャプション:新社屋前での落成式集合写真

👉 本文が更新されたのにキャプションが旧情報のまま残る、典型的エラー。

✏️ 校正例3:用語のズレ

Before
本文:省エネ設備を導入しました。
図表タイトル:省エネルギー設備導入実績

After
本文:省エネ設備を導入しました。
図表タイトル:省エネ設備導入実績

👉 文中語と図表見出しが異なると、別物として認識されかねません。

✏️ 校正例4:凡例だけ古いパターン

Before
本文:新制度は2025年4月から全社で適用されます。
グラフ凡例:〈2024年試験導入〉と表記

After
本文:新制度は2025年4月から全社で適用されます。
凡例:〈2025年全社導入〉に統一

👉 タイトル・本文・凡例の三点照合が必要。凡例のみ旧情報が残りがち。

✏️ 校正例 5:単位と表現軸の混在

Before
本文:CO₂排出量は前年比で10%削減しました。
図表:0.92倍 とだけ表示

After
本文:CO₂排出量は前年比で10%削減しました。
図表:前年比 10%削減 と表記統一

👉 本文が「%」なのに図表だけ「倍率」だと読者が計算を強いられる。軸統一が必須。


校正は「照合の順序」を持つと強くなる

社内報の実務では、以下の順に照合することで漏れが激減します。

1)一次情報(元データ・決裁済み事実)
2)本文(これを基準軸に確定)
3)図表(数値・用語・単位を本文に合わせる)
4)キャプション(写真の実体と本文の整合)
5)凡例・脚注(置き去り防止の最終チェック)

この「順に見る」視点がないと、校正を何周重ねても整合しません。


運用ルール化すると事故は再発しない

実務に落とし込むとしたら、次の3つだけで劇的に改善します。

  • キャプションは“本文担当者”が最終承認する(デザイナー任せにしない)
  • 図表タイトル・凡例は「用語集と照合」してから入稿
  • 修正発生時は「本文→図→キャプション」「逆順禁止」を徹底

工程で縛ることで、個人の注意力に依存しない運用になります。


まとめ —「文字以外も見る」のが校正の真価

社内報の校正は、文字だけを見る作業ではありません。
本文・図表・キャプションを「別のもの」と考えるのではなく、

読者が目にする時には “ひとつの情報体” として機能する
という前提で整合を取ることが大切です。

図表やキャプションまで視野に入れてこそ、
“読み手に正しく伝わる誌面” が完成します。


FAQ(社内報担当者からよくある質問)

Q1|図表を差し替えたと聞いたけど、校正では何を確認すればいい?

A|見た目ではなく“情報の中身”と“本文との整合性”を必ず確認します。
図表は差し替え時に中の数値や名前が変わることがあります。

  • 数値・項目名・注釈に変更がないか
  • 本文が古い内容のままになっていないか
    この2点をセットで見れば、大きな誤りを防げます。

Q2|図表内の数字まで全部見るべき?効率が悪く感じます。

状況に応じて判断するのが最も現実的です。
図表が記事の核心に関わる場合は、面倒でも“すべての数字を確認すべき”ケースがあります。
一方で、補足的な位置づけの図表であれば、本文で触れている数字や、目立つ・重要な項目を優先するだけで十分な場面もあります。

また、校正の段階によっても深さは変わります。

  • 初校:数字の誤りが最も多く見つかる段階。原則として“全体を通して確認”するのが安全です。
  • 念校(再校):大幅な修正は入りにくいため、“本文と関係する数字”や“リスクが高い箇所”に絞ってチェックして問題ありません。

まずは図表が記事全体の中でどの役割を持つのか、そして今がどの校正段階なのかを踏まえて、必要な範囲で確認することが大切です。

Q3|キャプションが本文と同じ内容になっています。このままで問題ありませんか?

A|重複が問題になる場合と、むしろ必要な場合があります。
キャプションは補足説明なので、内容が本文と似ることは自然です。
ただし、

キャプションは「本文を読まなくても写真の意味がわかる」ことが目的のため、
本文の要点を短く繰り返すのは問題ではありません。むしろ一般的です。

ただし、次のような場合は修正したほうが読みやすくなります。

  • キャプションが本文と“ほぼ同じ文章”で冗長になっている
  • 写真・図版の説明ではなく、本文のコピーになっている
  • 写真を見なくても本文だけで十分理解できる構成になっている

逆に以下の場合は、重複していても自然です。

  • 写真を見た瞬間に内容が把握できるようにしたい
  • 図表や写真が記事全体の理解に重要で、補足説明が必要
  • 本文では触れられていない「撮影日」「登場人物名」など付帯情報を入れるとき

つまり、「重複=悪」ではなく、
写真や図版の役割に合わせて“どこまで重ねるか”を調整するのがポイントです。


株式会社ユー・エス・エスの取り組み

株式会社ユー・エス・エスは、

  • 写真製版・画像補正を含む制作一貫体制
  • 図表・本文・キャプションを突き合わせる校正力
  • 社内報・広報物の信頼性を守る品質管理

をご提供しています。
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