文:職場体験スタッフ
※本記事は、東京しごとセンター(女性しごと応援テラス)の再就職支援プログラムの職場体験に参加された方が書いた原稿をもとに、当社にて構成・表現を整えて掲載しています。

3月になると、少しずつ空気がやわらぎ、春の気配を感じるようになります。
忙しい年度末を乗り越えながらも、どこか心が前向きになる――そんな季節です。
そんな3月にあるのが「国際女性デー」。
今回は、私がイタリア留学中に出会ったミモザの花と、心に残るケーキの思い出を通して、働く女性として感じてきたことをお話ししたいと思います。
国際女性デーは、毎年3月8日に設けられている記念日です。
この日は、女性の地位向上、男女平等の実現、差別のない社会づくりを目的とした、国際的な取り組みの日とされています。
日本ではまだ馴染みが浅いかもしれませんが、海外ではとても大切にされている日です。特にイタリアでは、「Festa della donna(フェスタ・デッラ・ドンナ)」として、春の風物詩になっています。
私がイタリアに留学していた頃、仲の良い女友達と小さな村へ旅行に出かけました。偶然にも、その日は3月8日。国際女性デーでした。
村に降り立ち、目に飛び込んできたのは、テラコッタ色の建物の隙間から覗く、ポンポンと揺れる黄色の花がなんとも可愛らしい景色。街路樹や庭先、公園の片隅に、ミモザの花が満開に咲いていたのです。
「こんなにきれいなんだね」
友達と顔を見合わせながら、しばらく立ち尽くしてしまいました。
現地の人たちは、ミモザの花を手に、家族や友人と談笑しています。そこには「ありがとう」「大切に思っているよ」という、あたたかい言葉が聞こえてくるようでした。
村を歩いていると、小さなパティスリーのショーウィンドーに、ひときわ目を引くケーキが並んでいました。丸いドーム型に、細かい黄色のスポンジが散りばめられたケーキ。まるで、本物のミモザの花のようでした。
それが「Torta mimosa(ミモザケーキ)」です。
迷わず注文し、窓際の席でいただくことに。フォークを入れると、ふんわり軽い感触。口に運ぶと、やさしい甘さとクリームのなめらかさが広がりました。甘すぎず、重すぎず。旅の疲れと緊張を、そっとほどいてくれる味でした。
今でも、この季節になると、あのケーキを思い出します。

ミモザの花言葉は、感謝、友情、思いやり。
留学中の私は、語学や生活に悩み、自信をなくすこともありました。
そんなとき支えてくれたのは、同じように頑張っていた女友達の存在です。
「大丈夫だよ」
「一緒に頑張ろう」
その言葉に、何度も救われました。
ミモザの花は、あの頃の友情と感謝の象徴のように、今も心に残っています。
女性でも経験を積んでいくと、仕事でも責任が増え、将来について考える機会も多くなります。
キャリアアップ、結婚・出産、働き方の選択、ライフワークバランス――さまざまな選択肢の中で、迷うことも少なくありません。
私自身も、「もっと頑張らなきゃ」「まだ足りない」と、自分を追い込んでしまうことがあります。
でも、ミモザの花を思い出すと、ふと立ち止まれるのです。
「今の自分も、よくやっている」
「もっと自分にやさしくしていい」
そう思える時間が、心を整えてくれます。
Q:イタリアでは、国際女性デーをどのように過ごすのですか?
A:イタリアでは、国際女性デーに、男性から妻や母、恋人、同僚などの女性へ、日頃の感謝や尊敬の気持ちを込めて、黄色いミモザの花を贈る習慣があります。「ありがとう」「いつもお疲れさま」という想いを花に託して伝える、とてもあたたかい文化です。
ミモザの黄色は、明るくてやさしくて、控えめなのに存在感があります。
それは、日々頑張る私たち女性の姿にも重なります。
誰かを支えながら、責任を果たしながら、自分らしく生きようとする。
国際女性デーは、そんな自分をねぎらう日でもあります。
イタリアで出会ったミモザの花とケーキは、今も私に「自分を大切にすること」の大切さを教えてくれています。忙しい日々の中でも、自分の気持ちに耳を傾け、小さな幸せを見つけること。それは、仕事にも人生にも、やさしい力を与えてくれるはずです。
* * *
私たち株式会社ユー・エス・エスは、東京都文京区に拠点を置くデザイン制作会社として、広報誌の企画から取材・撮影、デザイン制作まで、「伝わる表現」を大切にしたものづくりを行っています。
企業様や団体様が持つ想い、活動の背景、人の温度――そうした目に見えない大切なものを、言葉とデザインに込めて届けることが、私たちの仕事です。ミモザの花が春を知らせてくれるように、私たちも、皆さまの想いをやさしく、確かに伝える存在であり続けたいと考えています。