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2025/11/14

◆ビジネス文書の冒頭日付ルール——吉日・末日・具体日付の正しい使い分け

ビジネス文書の冒頭日付ルール——吉日・末日・具体日付の正しい使い分け
ビジネス文書の冒頭日付ルール——吉日・末日・具体日付の正しい使い分け



概要
挨拶状・通知文・お知らせ文で迷う「吉日」「末日」「具体日付」。
ビジネス文書の冒頭日付をどう書くべきか、文書の目的別にわかりやすく整理しました。

こんにちは。東京・護国寺を拠点に、社内報や広報誌づくりをトータルで支えるデザイン会社、株式会社ユー・エス・エスです。

広報文書や社内向けのお知らせ、通知文の制作をご支援する中で、しばしばいただくご相談があります。

  • 「文書の右上に記載する日付を『吉日』にしても問題ないですか?」
  • 「通知文の場合、『〇月末日』と書いても失礼になりませんか?」
  • 「具体日付と末日、どちらが正しいのですか?」

実はこの“冒頭日付の書き方”には、文書の目的や性質に応じた明確な判断基準があります。
本記事では、広報・総務担当者の方が迷いやすい 「吉日」「末日」「具体日付」 の使い分けを、実務に基づいてわかりやすく整理して解説します。

■ 「吉日」は“慶事や儀礼”の冒頭に使う表現

「吉日(きちじつ)」は“めでたい日”を意味し、儀礼的・慶事用途に限定されます。

使用される代表的な文書は——

  • 就任・退任の挨拶状
  • 新オフィス開設のご案内
  • 設立記念・周年記念
  • 年賀状・季節の挨拶状

いずれも“ハレの文書”であり、冒頭日付をあえて「〇月吉日」とすることで、儀礼性や品格を表す効果があります。

→ 一方で、通知文・お知らせ文・業務文書に吉日は使用しません。
“発行日があいまいになる”ためです。

■ 通知文・案内文の冒頭日付は「末日」か「具体日付」で書く

ここからが本題です。
通知文・案内文・業務連絡文では、冒頭日付を 「末日」または「具体日付」 のどちらかで記載します。

ただし「末日が万能」というわけではありません。
文書の目的によって、次のように 選び方が変わります。

■ 冒頭日付の書き方:末日 or 具体日付の使い分け

(例1)「社内アンケート協力のお願い」

文書の冒頭日付は、案内の性質や目的によって「◯月末日」「◯月◯日」を使い分けます。

  • 月内に発行した事実を示せばよい場合 →『◯月末日』
  • 提出期限やスケジュール管理と連動する場合 →『◯月◯日』

【ポイント】

社内アンケートのお知らせは、ビジネス文書の中でも“柔らかい通知文”に分類されるため、発行日が厳密でなくても問題ないケースが多く、文書冒頭に 「◯月末日」 と記載しても自然です。

一方で、

  • 回答期限との関係で「発行日から◯日以内」という扱いが必要
  • 集計スケジュール上、発行日が明確である必要がある
    といった場合は、冒頭日付を 「◯月◯日」 と具体的に記載したほうが実務的です。

(例2)「業務フロー変更のご案内」

この文書も、通知文として一般的なケースであり、冒頭日付の重要度によって
「◯月末日」と「◯月◯日」を使い分けるのが適切です。

  • 周知目的で“月内発信”が分かればよい →『◯月末日』
  • 変更の施行日・運用開始日と発行日を連動させたい →『◯月◯日』

【ポイント】

業務フロー変更のお知らせは、“変更の開始日がいつか” が読み手にとって最も重要です。
そのため、運用開始日がすでに確定している場合や、発行日と紐づく業務がある場合は、
文書冒頭に 具体的な「◯月◯日」 を記載することで誤解を防げます。

一方で、

  • 「詳細な施行日は別途周知する」
  • 「まずは月内に変更の方向性だけ伝えたい」
    といった段階の通知文では、冒頭に 「◯月末日」 と記載しても十分に機能します。

(例3)「休業日程のお知らせ」

こちらも通知文としてよく使われる文書であり、冒頭日付の扱いは次のように判断します。

  • 社内向け・軽い案内で“月内通知”が分かれば十分 →『◯月末日』
  • 休業告知が法務・取引・納期に関わる →『◯月◯日』

【ポイント】

休業日程のお知らせは、読み手が 「いつ情報が発信されたか」 を基準に動く場合があり、
冒頭日付は文書の信頼性を左右する要素になります。

社内向けの簡易周知(例:社内イベントや臨時休館など)であれば、
発信日を正確に指定する必要はなく、
文書内の“月内告知”を示すための「◯月末日」 が自然です。

しかし、次のような場合は具体日付が必須になります。

  • 休業が取引先との納期・契約に影響する
  • 休業告知が法令遵守(労働基準・建物管理など)に関わる
  • 取引業務上「通知日」が記録として残る必要がある

こうしたケースでは、冒頭に 「◯月◯日」 と明記し、発行日の特定性を担保します。

■ 末日と具体日付:冒頭日付としての“正しい判断基準”

  1. 末日が向いている文書
    • 「月内に作成・通知した」という事実で足りる
    • 発行日そのものが業務に影響しない
    • 柔らかく表現したい案内・お知らせ
  2. 具体日付が向いている文書
    • 発行日がエビデンス(証拠)として必要
    • 読み手の行動が“いつの発信か”に左右される
    • 変更・発効・告知の日付が重要
  3. 吉日を使う文書
    • 儀礼文・お祝い文など、“発行日の厳密さを求めない”特別な挨拶状

→ 通知文では「末日」か「具体日付」。吉日は使用しない。
これが冒頭日付の基本ルールです。

■ まとめ:文書冒頭の日付は“文書の性質”で決める

文書の種類冒頭日付の正しい表記不向きな表記
お祝い・儀礼文吉日・具体日付末日
通知文・案内文末日 or 具体日付吉日
契約・法務文書具体日付吉日・末日(曖昧な場合)

文書右上の日付は、読み手にとっての“重要度”で選ぶことが最も大切です。

  • 「月内のお知らせ」なら → 末日
  • 「日付の特定が必要」なら → 具体日付
  • 「晴れの挨拶」なら → 吉日

と覚えておけば、ほとんどの文書に対応できます。

■ よくある質問(FAQ)

Q1. ビジネス文書の冒頭日付に「吉日」を使っても良いのですか?

A. 吉日は儀礼文(就任挨拶、移転案内、季節の挨拶など)に限って使用します。
通知文・お知らせ文・業務連絡などの実務文書では、日付の特定が必要なため使いません。

Q2. 「末日」はどんな文書でも使えるのでしょうか?

A. 通知文・案内文など“月内発信”が分かれば足りる文書に向いています。
ただし、発行日がエビデンスとなる文書では「具体日付」が必須です。

Q3. 「〇月〇日」と具体日付にすべきなのはどんな文書ですか?

A. 発効日・変更日・締切など、発行日の厳密さが業務に影響する文書です。
契約・請求・法務関係は必ず具体日付で記載します。

Q4. 社内向けの軽い案内文でも、具体日付のほうがよい場合はありますか?

A. あります。
例えば、「回答期限が発行日から◯日以内」「発行日とスケジュールが連動している」など、読み手の行動判断に日付が影響する場合は具体日付が適切です。

Q5. 迷ったらどのように判断すればよいですか?

A. “読み手にとって発行日が重要かどうか”を基準にします。
重要であれば具体日付、重要でなければ末日、儀礼文なら吉日が基本です。


ユー・エス・エスでは、広報文書・通知文・挨拶状・社内報など、
文章校正からデザイン制作まで一貫してサポート しています。

文書の「日付の書き方」ひとつでも、伝わり方や印象は大きく変わります。
制作の現場で培ってきた経験をもとに、文書の目的に合わせた表記や表現を、
読み手にとってわかりやすく、誤解のない形に整えるお手伝いをしています。

文書づくりに関することは何でもお気軽にご相談ください。

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