株式会社ユー・エス・エス/上田写真製版所 ブログ

■デザイン印刷百科
2025/12/18 2025/12/29

◆AIに“丸投げ”でチラシは作れるのか?レイアウトと原稿を分離したプロンプトで検証してみた

AIでチラシを作る際、多くの方がつまずくポイントがあります。それは、アートディレクション(AD)とデザインを混同してしまうことです。

前回の記事では、「AD=方向性の確立」「デザイン=情報整理と組版」という役割の違いと、AI活用においてその2つを明確に分ける重要性について説明しました。

今回はその続きとして、
「それでもAIに全部任せたい。レイアウトも原稿もプロンプトで渡して、チラシの完成形をAIに生成させたい」
というニーズに真正面から向き合って検証してみます。

結論を先に言えば、プロンプト次第で“それっぽい完成形”までは十分に到達可能です。

レイアウトプロンプトと原稿プロンプトを完全に分ける

AIに丸投げしたいなら、実は「丸投げ」してはいけません。
ここで必要なのは、AIに対して レイアウト構造(どんな配置にするか)原稿(何を伝えるか) を分離して渡すことです。

AIは統合的に解釈しようとすると破綻しますが、
「役割を分けて与える」と驚くほど素直に応えてくれます。

今回の検証では、以下の2つの方向性をベースにレイアウトプロンプトを作成しました。

A案:落ち着いたトーンの“チラシ風”レイアウト

下記内容に基づき、A4縦サイズのチラシを作成してください。

特徴

  • 余白を広めに
  • グリッドが通った整然とした構成
  • 淡いトーン、抑えた彩度
  • 文字の情報量が多めでも耐えるタイプ

レイアウト:

  • ベージュ系の暖色系背景に、白い枠線で囲まれたチラシデザイン。
  • 上部は広いスペースで、中央に大きなタイトルと日付が配置。
  • 中央から下部にかけて、左側にメニュー表、右側に写真と説明文が配置。
  • 下部には小さな地図やロゴ、価格情報が配置されたレイアウト。

色調:

  • 主にベージュ、クリーム、白を基調とした温かみのあるナチュラルカラー。
  • テキストや装飾には黒、濃い茶色、オレンジ系のアクセントカラー。
  • フォントの一部には赤やオレンジの強調色。

フォント:

  • タイトルは太字の手書き風フォント(やや丸みを帯びた筆記体風)。
  • 本文はシンプルな明朝体またはゴシック系フォント。
  • メニュー表の見出しには太字のサンセリフフォント。
  • 価格や日付は角張ったフォントで明瞭に表示。

写真配置:

  • 上部中央に、トロピカルフルーツを飲む女性の写真。
  • 下部中央に、トロピカルフルーツのクローズアップ写真。
  • 写真は白い枠で囲まれ、背景にぼかし効果を加えている。

装飾要素:

  • チラシの四隅に、小さな模様(伝統的な和風の花柄や点線)が配置。
  • メニュー表の見出しには、小さなアイコンが付いている。
  • 下部には、地図やロゴ、価格情報の枠内に、縦線や点線の装飾が入っている。

テクスチャ・雰囲気:

  • 和風で温かみのあるナチュラルな雰囲気。
  • 木材や陶器、紙の質感を意識したデザイン。
  • ボリューム感のある配置で、目を引くレイアウト。

原稿テキスト(例)

キャッチコピー:太陽を浴びたトロピカルフルーツ。夏の渇きを潤す、究極のフローズンドリンク!

メインタイトル:季節限定!ビタミンチャージ 「マンゴー&パッションフローズン」商品名マンゴー&パッションフローズン (Mango & Passion Frozen)

サブコピー:完熟マンゴーの濃厚な甘さと、パッションフルーツの爽やかな酸味が弾ける!一口飲めば、南国リゾート気分。

価格:トールサイズ:¥650 (税込)
販売期間:2026年6月1日(月) ~ 8月31日(月) 期間限定
特徴・こだわり: ゴロゴロとしたマンゴーの果肉と、種ごと入ったパッションフルーツのソースを使用。 砂糖控えめで、素材本来のフレッシュな甘さを最大限に引き出しました。*オリジナルハーブをブレンドした、後味すっきりな爽快感。

店舗名:Blue Sky Cafe (ブルースカイカフェ)
店舗情報:東京都渋谷区代官山0-0-0 / 恵比寿駅より徒歩5分
営業時間:11:00 – 22:00 / 定休日:なし
問合せ: 03-3333-xxxx /
Instagram: @bluesky_cafe_tokyo

コールトゥアクション暑い夏は、当店特製のフローズンで決まり!ぜひお試しください!
その他(補足情報):+¥50でタピオカのトッピングも可能です。

B案:目立つ“ポスタースタイル”のチラシ風レイアウト

下記内容に基づき、A4縦サイズのチラシを作成してください。

特徴

  • 大胆なメインビジュアル
  • 太いタイトル
  • 文字情報を最小限に
  • コントラスト強め、鮮やかな色調

レイアウトプロンプト(例)

レイアウト

  • 垂直レイアウトで、上部にヤシの葉が左右からフレームを形成
  • 一番上はタイトルで大きく太字で目立つように
  • 中央にトロピカルフルーツドリンクの大きな写真を配置
  • 情報は右側に並べられ、下部には価格情報と期間限定のアクセントが配置
  • 背景は空と砂浜で構成され、全体的にリラックスしたビーチ風のレイアウト
  • 下部には小さな地図やロゴ、店舗情報のレイアウト。

色調

  • 明るい水色のグラデーション背景
  • 暖かみのあるベージュ色の砂浜エリア
  • ドリンクに使用されたマンゴー・パッションフルーツの鮮やかなオレンジと黄色
  • 全体的にパステル調で爽やかでリラックスした雰囲気

フォント

  • タイトル部分は太字で遊び心のある日本語フォント(装飾的な筆記体風)カラフルでトロピカルなデザインに。
  • メニュー項目は清潔感のあるサンセリフ体の小文字
  • 価格情報は強調するため、太いフォントと赤色を組み合わせ背景にパターンを入れてとにかく目立つように。
  • 各メニュー項目の横に小さなフルーツアイコンを配置

写真配置

  • ドリンクの写真が中央に大きく配置
  • ヤシの葉は画像の上下左右から背景に自然に溶け込むように配置(ぼかす)
  • 水滴や影を加え、ドリンクのリアルな質感を表現
  • 背景の海と砂浜が写真の下部に広がり、全体のバランスを保つ

装飾要素

  • 価格情報の「期間限定」は赤いバナーで強調
  • 下部には波模様のパターン

テクスチャ・雰囲気

  • 空と海に柔らかいグラデーションを施し、明るく晴れた日の雰囲気を表現
  • 全体的にリラックスしたトロピカルな雰囲気で、夏らしい爽やかさを表現

原稿テキスト

Aと同じものを使用し、構成の違いのみを検証。

実際にAIで生成した画像を比較してみた結果

2つの方向性 × 同じ原稿で生成した結果――
明確に違いが出ました。

A案(nanobanana proで生成)
B案(nanobanana proで生成)

● レイアウト構造も概ね保持される

  • 見出しの位置
  • 画像エリア
  • 本文ブロックのまとまり
    など、指示したゾーニングはおおむね再現可能。

● ただし細かな調整はまだ甘い

禁則処理や行揃え、日本語の可読性など、細かな調整という意味ではまだ難しいレベル です。

結論:現状のAIでも「方向性分け × レイアウト+原稿プロンプト」の戦略なら、ここまでできる、ただ、、、

今回の検証で分かったのは、現状の画像生成AIでも

  • 方向性の違いは表現できる
  • レイアウトの大枠も保持できる
  • 企画段階の“比較用イメージ”としては使える

ということ。

もちろん、文字の精度や整列の甘さなどの点は問題が残りますが、初期段階のスピードは向上しています。

次回:AI生成画像をAffinityで“入稿できるチラシデータ”に仕上げる方法

次回の記事では今回生成したAI画像を使い、

  • トンボ(裁ち落とし)設定
  • CMYKへの変換
  • 解像度の設定
  • PDF入稿設定
  • 無料でできる実務的ワークフロー

など、Affinity(無料レイアウトアプリ)で本当に印刷できるチラシに仕上げる手順を解説します。

次回もどうぞお楽しみに。


株式会社ユー・エス・エスは、AIの活用を取り入れつつも、企画設計・構成・レイアウト・デザイン制作までを一貫してサポートする制作会社です。
本記事のようなAIを使ったアイデア出しや初稿作成から、実務で使える品質に仕上げるプロの視点・手直しまでを含めたご提案が可能です。
AIによる効率化だけでなく、伝わる形に整える制作実務のご相談も、お気軽にお声がけください。

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