AIでチラシを作る際、多くの方がつまずくポイントがあります。それは、アートディレクション(AD)とデザインを混同してしまうことです。
前回の記事では、「AD=方向性の確立」「デザイン=情報整理と組版」という役割の違いと、AI活用においてその2つを明確に分ける重要性について説明しました。
今回はその続きとして、
「それでもAIに全部任せたい。レイアウトも原稿もプロンプトで渡して、チラシの完成形をAIに生成させたい」
というニーズに真正面から向き合って検証してみます。
結論を先に言えば、プロンプト次第で“それっぽい完成形”までは十分に到達可能です。
レイアウトプロンプトと原稿プロンプトを完全に分ける
AIに丸投げしたいなら、実は「丸投げ」してはいけません。
ここで必要なのは、AIに対して レイアウト構造(どんな配置にするか) と 原稿(何を伝えるか) を分離して渡すことです。
AIは統合的に解釈しようとすると破綻しますが、
「役割を分けて与える」と驚くほど素直に応えてくれます。
今回の検証では、以下の2つの方向性をベースにレイアウトプロンプトを作成しました。
A案:落ち着いたトーンの“チラシ風”レイアウト
下記内容に基づき、A4縦サイズのチラシを作成してください。
特徴
- 余白を広めに
- グリッドが通った整然とした構成
- 淡いトーン、抑えた彩度
- 文字の情報量が多めでも耐えるタイプ
レイアウト:
- ベージュ系の暖色系背景に、白い枠線で囲まれたチラシデザイン。
- 上部は広いスペースで、中央に大きなタイトルと日付が配置。
- 中央から下部にかけて、左側にメニュー表、右側に写真と説明文が配置。
- 下部には小さな地図やロゴ、価格情報が配置されたレイアウト。
色調:
- 主にベージュ、クリーム、白を基調とした温かみのあるナチュラルカラー。
- テキストや装飾には黒、濃い茶色、オレンジ系のアクセントカラー。
- フォントの一部には赤やオレンジの強調色。
フォント:
- タイトルは太字の手書き風フォント(やや丸みを帯びた筆記体風)。
- 本文はシンプルな明朝体またはゴシック系フォント。
- メニュー表の見出しには太字のサンセリフフォント。
- 価格や日付は角張ったフォントで明瞭に表示。
写真配置:
- 上部中央に、トロピカルフルーツを飲む女性の写真。
- 下部中央に、トロピカルフルーツのクローズアップ写真。
- 写真は白い枠で囲まれ、背景にぼかし効果を加えている。
装飾要素:
- チラシの四隅に、小さな模様(伝統的な和風の花柄や点線)が配置。
- メニュー表の見出しには、小さなアイコンが付いている。
- 下部には、地図やロゴ、価格情報の枠内に、縦線や点線の装飾が入っている。
テクスチャ・雰囲気:
- 和風で温かみのあるナチュラルな雰囲気。
- 木材や陶器、紙の質感を意識したデザイン。
- ボリューム感のある配置で、目を引くレイアウト。
原稿テキスト(例)
キャッチコピー:太陽を浴びたトロピカルフルーツ。夏の渇きを潤す、究極のフローズンドリンク!
メインタイトル:季節限定!ビタミンチャージ 「マンゴー&パッションフローズン」商品名マンゴー&パッションフローズン (Mango & Passion Frozen)
サブコピー:完熟マンゴーの濃厚な甘さと、パッションフルーツの爽やかな酸味が弾ける!一口飲めば、南国リゾート気分。
価格:トールサイズ:¥650 (税込)
販売期間:2026年6月1日(月) ~ 8月31日(月) 期間限定
特徴・こだわり: ゴロゴロとしたマンゴーの果肉と、種ごと入ったパッションフルーツのソースを使用。 砂糖控えめで、素材本来のフレッシュな甘さを最大限に引き出しました。*オリジナルハーブをブレンドした、後味すっきりな爽快感。
店舗名:Blue Sky Cafe (ブルースカイカフェ)
店舗情報:東京都渋谷区代官山0-0-0 / 恵比寿駅より徒歩5分
営業時間:11:00 – 22:00 / 定休日:なし
問合せ: 03-3333-xxxx /
Instagram: @bluesky_cafe_tokyo
コールトゥアクション暑い夏は、当店特製のフローズンで決まり!ぜひお試しください!
その他(補足情報):+¥50でタピオカのトッピングも可能です。
B案:目立つ“ポスタースタイル”のチラシ風レイアウト
下記内容に基づき、A4縦サイズのチラシを作成してください。
特徴
- 大胆なメインビジュアル
- 太いタイトル
- 文字情報を最小限に
- コントラスト強め、鮮やかな色調
レイアウトプロンプト(例)
レイアウト
- 垂直レイアウトで、上部にヤシの葉が左右からフレームを形成
- 一番上はタイトルで大きく太字で目立つように
- 中央にトロピカルフルーツドリンクの大きな写真を配置
- 情報は右側に並べられ、下部には価格情報と期間限定のアクセントが配置
- 背景は空と砂浜で構成され、全体的にリラックスしたビーチ風のレイアウト
- 下部には小さな地図やロゴ、店舗情報のレイアウト。
色調
- 明るい水色のグラデーション背景
- 暖かみのあるベージュ色の砂浜エリア
- ドリンクに使用されたマンゴー・パッションフルーツの鮮やかなオレンジと黄色
- 全体的にパステル調で爽やかでリラックスした雰囲気
フォント
- タイトル部分は太字で遊び心のある日本語フォント(装飾的な筆記体風)カラフルでトロピカルなデザインに。
- メニュー項目は清潔感のあるサンセリフ体の小文字
- 価格情報は強調するため、太いフォントと赤色を組み合わせ背景にパターンを入れてとにかく目立つように。
- 各メニュー項目の横に小さなフルーツアイコンを配置
写真配置
- ドリンクの写真が中央に大きく配置
- ヤシの葉は画像の上下左右から背景に自然に溶け込むように配置(ぼかす)
- 水滴や影を加え、ドリンクのリアルな質感を表現
- 背景の海と砂浜が写真の下部に広がり、全体のバランスを保つ
装飾要素
- 価格情報の「期間限定」は赤いバナーで強調
- 下部には波模様のパターン
テクスチャ・雰囲気
- 空と海に柔らかいグラデーションを施し、明るく晴れた日の雰囲気を表現
- 全体的にリラックスしたトロピカルな雰囲気で、夏らしい爽やかさを表現
原稿テキスト
Aと同じものを使用し、構成の違いのみを検証。
実際にAIで生成した画像を比較してみた結果
2つの方向性 × 同じ原稿で生成した結果――
明確に違いが出ました。
A案(nanobanana proで生成)
B案(nanobanana proで生成)
● レイアウト構造も概ね保持される
- 見出しの位置
- 画像エリア
- 本文ブロックのまとまり
など、指示したゾーニングはおおむね再現可能。
● ただし細かな調整はまだ甘い
禁則処理や行揃え、日本語の可読性など、細かな調整という意味ではまだ難しいレベル です。
結論:現状のAIでも「方向性分け × レイアウト+原稿プロンプト」の戦略なら、ここまでできる、ただ、、、
今回の検証で分かったのは、現状の画像生成AIでも
- 方向性の違いは表現できる
- レイアウトの大枠も保持できる
- 企画段階の“比較用イメージ”としては使える
ということ。
もちろん、文字の精度や整列の甘さなどの点は問題が残りますが、初期段階のスピードは向上しています。
次回:AI生成画像をAffinityで“入稿できるチラシデータ”に仕上げる方法
次回の記事では今回生成したAI画像を使い、
- トンボ(裁ち落とし)設定
- CMYKへの変換
- 解像度の設定
- PDF入稿設定
- 無料でできる実務的ワークフロー
など、Affinity(無料レイアウトアプリ)で本当に印刷できるチラシに仕上げる手順を解説します。
次回もどうぞお楽しみに。
株式会社ユー・エス・エスは、AIの活用を取り入れつつも、企画設計・構成・レイアウト・デザイン制作までを一貫してサポートする制作会社です。
本記事のようなAIを使ったアイデア出しや初稿作成から、実務で使える品質に仕上げるプロの視点・手直しまでを含めたご提案が可能です。
AIによる効率化だけでなく、伝わる形に整える制作実務のご相談も、お気軽にお声がけください。