株式会社ユー・エス・エス/上田写真製版所 ブログ

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◆【AIを活用した業務効率化】写真プライバシー保護ツール「Face Emoji Processor」開発事例

皆様、日々の業務で「もっと効率的にできないか」と感じることはありませんか。私も同様の思いから、AIの技術を活用し、業務課題の解決策を具体化しました。
今回は、写真共有時に個人情報保護のために発生する手間を自動化するPythonスクリプト、「Face Emoji Processor」をご紹介します。このツールは、写真に写る顔などの個人情報を簡単にマスキングし、プライバシーを守りながら円滑な写真共有を可能にします。
私がどのようにAIを活用して業務改善を実現したのか、その開発プロセスと成果をご説明します。

AIと共に進める業務改善ツールの開発プロセス

これまで、写真に写り込んだ顔などの個人情報を手作業で加工する作業は、非常に非効率だと感じていました。特にプライバシー保護が求められる場面では、この作業に時間がかかり、結果として写真共有の妨げになることもありました。

そこで、この課題を解決し、業務を効率化するためにAIのサポートを得ることにしました。AIアシスタントに相談しながら進めた開発プロセスは以下の通りです。

  1. 課題の特定とAIへの相談: 「写真内の個人情報を手作業で加工するのは効率的ではなく、プライバシーを守りながら写真を共有する上で課題となっている」という点をAIに伝え、解決策を共に検討しました。
  2. 技術選定とAIからの提案: AIは、顔検出にはOpenCV、画像処理やPSD出力にはPillowおよびpsd-toolsライブラリが適していると提案しました。これらの技術を組み合わせることで、高精度かつ柔軟な画像処理が可能になるという方針が固まりました。
  3. AIによるコード生成: AIの提案に基づき、具体的な要件を伝えて、顔検出、指定した画像(例: 顔文字)による顔の置き換え、PSDレイヤー作成、ファイル保存といった主要機能を実装するPythonコードを生成してもらいました。これにより、従来は手作業で時間がかかっていたプライバシー保護済み写真データの作成が、よりスムーズに行えるようになりました。
  4. 実行と検証、そして調整: 生成されたコードを実際に実行し、期待通りに動作するかを確認しました。AIが生成したコードは優れた基盤となりましたが、実際の業務で使いやすい形にするため、私自身が微調整や改善を加えました。

処理例のご紹介:Before & After

実際に「Face Emoji Processor」を使って処理を行った画像と、その結果をご覧ください。

今回はAdobeStockをサンプルに実行してみました。

Before

顔を公開したくない場合、一枚一枚手作業で加工するのは時間と手間がかかり、写真掲載のボトルネックになることがありました。

After

このようなPSDファイルが生成されます。元の画像レイヤーの上に、検出された顔の位置に指定した画像が重ねられたレイヤーが追加されます。これにより、元の顔が隠され、プライバシーが保護された状態で写真を共有できます。

このAIを活用したプロセスにより、写真掲載のハードルが下がり、業務の効率が改善されました。

「Face Emoji Processor」の主な機能

  • 顔検出: OpenCVを使って画像内の顔を自動で検出します。
  • 個人情報のマスキング: 検出された顔の位置に、指定した画像(例: 顔文字)を重ねてプライバシーを保護します。
  • PSDファイル出力: 元画像とマスキングされた顔が別々のレイヤーとして保存されるため、後から編集も可能です。
  • 一括処理: フォルダ内の複数の画像を一度に処理できるため、大量の画像処理にも対応できます。

開発環境の変化:AIがサポートするこれからの開発

これまでは、開発環境の準備やライブラリのインストール、デバッグ作業などが専門知識を要し、プログラマー以外には敷居が高いものでした。しかし、現在ではAIがこれらの工程を大きくサポートしてくれます。

例えば、このスクリプトを実行するために必要なPython環境の整備も、AIツール(例えば、一部のCLIツールや統合開発環境のAI機能)に任せることで、適切なライブラリの提案からインストールまで自動で行ってくれます。さらに、コードのデバッグやエラーの特定もAIが助けてくれるため、専門的な知識がなくても、意図した機能を形にすることが以前に比べてはるかに容易になりました。

プログラミングの経験がない方でも、AIを活用すればアイデアを具体的な形にできる時代です。この大きな変化は、業務改善の可能性を大きく広げていると言えるでしょう。

AIと人間の協業がもたらす業務改善の可能性

今回の「Face Emoji Processor」開発を通じて、AIが私たちの業務における有用なサポート役になり得ると感じました。AIにコード生成や技術選定といった専門的な部分を依頼することで、私自身は課題の特定や、より実用的なツールにするための調整に集中することができました。

皆様も、日々の業務における非効率な作業に対し、AIを一つの選択肢として活用してみてはいかがでしょうか。AIと人間の協業が、業務改善の一助となる可能性を秘めていると思います。

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