株式会社ユー・エス・エス/上田写真製版所 ブログ

■デザイン印刷百科
2025/12/20 2025/12/29

◆AI時代に「アートディレクション」と「デザイン」を分けて考えるべき理由

AIでチラシなど制作物をつくる際、アートディレクション(AD)とデザインを明確に分けるべきか?
この問いに対する答えは、はっきりと「はい」です。

なぜなら、両者は目的もAIに期待する役割もまったく異なるためです。
両方をごちゃまぜにして「AIにいい感じのチラシを作ってもらおう」とすると、派手なだけで情報が伝わらない──いわゆる“雰囲気だけ画像”になりがちです。

この記事では、AI時代における 「アートディレクション」と「デザイン」それぞれの役割とAI活用法 を整理します。

1. アートディレクションとデザインの違い(AI活用編)

AIに指示を出す(プロンプトを入力する)際、自分がどちらの役割で考えているかを意識すると、アウトプットの質が向上します。

項目アートディレクション (AD)デザイン (Design)
目的世界観・印象を決める情報を整理し、伝える
AIに期待するもの雰囲気、配色、構図の方向性
トーン&マナー
素材生成、レイアウト案
視線誘導、可読性
キーワード感情、印象、コンセプト、ターゲット配置、フォント、余白、機能性
成果物ムードボード、コンセプトアート完成データ、具体的なパーツ

2. アートディレクション領域でのAI活用

AIは「世界観の実験装置」として非常に優秀です。
この段階では、文字や情報構造はまだ重要ではありません。

● デザイナー側の“判断スピード”を圧倒的に早める

これまでADフェーズは、デザイナーがいくつかラフ案を作り、そこから方向性を絞り込むまでに時間がかかる工程でした。

しかし今では、AI生成によって

  • どんな世界観が合いそうか
  • どんなトーンが今回のテーマに近いか
  • 配色や雰囲気が狙いとズレていないか

といった “内部の方向性検討”を、事前にスピーディーに進められるようになっています。

● トーン&マナーの確立

「高級感のある」「親しみやすい」「レトロ」「サイバーパンク」など抽象的な形容詞を入力し、ビジュアルの方向性を高速で検証します。

● 配色の検証

補色・類似色などの組み合わせによる印象の違いを、瞬時に比較できます。

● ターゲットへの訴求テスト

「20代女性向け」「シニア向け」などの条件を加え、
AIが出す“ステレオタイプの傾向”を見ることで、訴求軸の参考になります。

● ADフェーズのプロンプトのコツ

具体的な情報やレイアウトよりも
形容詞・感情を多めに入れること。

3. デザイン領域でのAI活用

ここでは、決まった方向性を元に「実際に使える素材」を整えていく工程です。

AIが最も得意なのは、素材生成やパーツの制作 です。

● 素材生成

背景、人物写真、装飾、アイコンなどを個別に生成。
例:「白背景で笑顔のビジネスマン」「水彩風のトマトのイラスト」

● レイアウトの参考(ラフ)

nanobanana pro、Midjourney 等でADフェーズでだした方向性を指示し、掲載する情報をあたえ、文字が崩れていても構図のヒントだけ取得します。

● 修正・補正

PhotoShopなどの編集ツールがない場合、アップスケール、余計な要素の除去など実務的な後処理をAIで行います。

● デザインフェーズのプロンプトのコツ

「背景は白」「A4縦」「中央に人物」 など意図するレイアウトや表現イメージがあれば、指示をする方が精度があがります。

4. 推奨ワークフロー

【1:ADフェーズ】

抽象的なイメージを生成し、今回の方向性決定する“軸” を決める。

【2:Designフェーズ】

決定した方向性に沿って、必要な素材を個別に生成する。

【3:Human / Toolフェーズ】

Illustrator、Canva などでレイアウトし、正しいテキストを流し込む。

まとめ

アートディレクションは
「AIに夢を見させる(発散)」 工程。

デザインは
「AIに現実をつくらせる(収束)」 工程。

この2つを同時にAIに求めると、「雰囲気は良いが内容が読めない/商品が謎の物体」といった“使えないアウトプット”になります。

次の記事では、それでもAIに丸投げしたい。レイアウトもAIにまかせて、完成形の印刷データも生成AIで作成したい方にどうすればいいか、検証してみたのでご紹介します。


株式会社ユー・エス・エスは、AI時代の制作現場においても、企画・アートディレクション・デザイン・印刷までを一貫してサポートする制作会社です。
AIを活用したアイデア出しから、伝わる表現や実務で使えるデザインへの落とし込みまで、専門的な視点でご提案します。
AIと人の協働によるデザイン制作や、実務に即した運用についてお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

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