
AIでチラシなど制作物をつくる際、アートディレクション(AD)とデザインを明確に分けるべきか?
この問いに対する答えは、はっきりと「はい」です。
なぜなら、両者は目的もAIに期待する役割もまったく異なるためです。
両方をごちゃまぜにして「AIにいい感じのチラシを作ってもらおう」とすると、派手なだけで情報が伝わらない──いわゆる“雰囲気だけ画像”になりがちです。
この記事では、AI時代における 「アートディレクション」と「デザイン」それぞれの役割とAI活用法 を整理します。
AIに指示を出す(プロンプトを入力する)際、自分がどちらの役割で考えているかを意識すると、アウトプットの質が向上します。
| 項目 | アートディレクション (AD) | デザイン (Design) |
|---|---|---|
| 目的 | 世界観・印象を決める | 情報を整理し、伝える |
| AIに期待するもの | 雰囲気、配色、構図の方向性 トーン&マナー | 素材生成、レイアウト案 視線誘導、可読性 |
| キーワード | 感情、印象、コンセプト、ターゲット | 配置、フォント、余白、機能性 |
| 成果物 | ムードボード、コンセプトアート | 完成データ、具体的なパーツ |
AIは「世界観の実験装置」として非常に優秀です。
この段階では、文字や情報構造はまだ重要ではありません。
これまでADフェーズは、デザイナーがいくつかラフ案を作り、そこから方向性を絞り込むまでに時間がかかる工程でした。
しかし今では、AI生成によって
といった “内部の方向性検討”を、事前にスピーディーに進められるようになっています。
「高級感のある」「親しみやすい」「レトロ」「サイバーパンク」など抽象的な形容詞を入力し、ビジュアルの方向性を高速で検証します。
補色・類似色などの組み合わせによる印象の違いを、瞬時に比較できます。
「20代女性向け」「シニア向け」などの条件を加え、
AIが出す“ステレオタイプの傾向”を見ることで、訴求軸の参考になります。
具体的な情報やレイアウトよりも
形容詞・感情を多めに入れること。
ここでは、決まった方向性を元に「実際に使える素材」を整えていく工程です。
AIが最も得意なのは、素材生成やパーツの制作 です。
背景、人物写真、装飾、アイコンなどを個別に生成。
例:「白背景で笑顔のビジネスマン」「水彩風のトマトのイラスト」
nanobanana pro、Midjourney 等でADフェーズでだした方向性を指示し、掲載する情報をあたえ、文字が崩れていても構図のヒントだけ取得します。
PhotoShopなどの編集ツールがない場合、アップスケール、余計な要素の除去など実務的な後処理をAIで行います。
「背景は白」「A4縦」「中央に人物」 など意図するレイアウトや表現イメージがあれば、指示をする方が精度があがります。
抽象的なイメージを生成し、今回の方向性決定する“軸” を決める。
決定した方向性に沿って、必要な素材を個別に生成する。
Illustrator、Canva などでレイアウトし、正しいテキストを流し込む。
アートディレクションは
「AIに夢を見させる(発散)」 工程。
デザインは
「AIに現実をつくらせる(収束)」 工程。
この2つを同時にAIに求めると、「雰囲気は良いが内容が読めない/商品が謎の物体」といった“使えないアウトプット”になります。
次の記事では、それでもAIに丸投げしたい。レイアウトもAIにまかせて、完成形の印刷データも生成AIで作成したい方にどうすればいいか、検証してみたのでご紹介します。
株式会社ユー・エス・エスは、AI時代の制作現場においても、企画・アートディレクション・デザイン・印刷までを一貫してサポートする制作会社です。
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