株式会社ユー・エス・エス/上田写真製版所 ブログ

文字校正
2025/12/24

◆校正で押さえておきたいチェックポイント⑧ 補助動詞 ― 本動詞の“意味内容”を補って動作の性質を示す語

補助動詞 ― 本動詞の“意味内容”を補って動作の性質を示す語

■ 記事の概要

補助動詞は、文章の読みやすさを左右する「とじひらき」の代表ポイントです。
「行く/いく」「置く/おく」「欲しい/ほしい」のように、
動作としての意味がある場合と、補助的に使われる場合 があり、
これらがゆれると読者の理解を妨げます。
本稿では、補助動詞の役割、漢字とひらがなの判断基準、
社内報で特に多い誤りの例、そして統一の考え方を整理します。


こんにちは。
東京・護国寺で社内報・広報誌の編集・校閲・デザイン制作を行う
株式会社ユー・エス・エスです。

社内報原稿を読んでいると、次のような表記に迷うことはありませんか?

  • 「〜していく/行く」
  • 「〜しておく/置く」
  • 「〜してほしい/欲しい」
  • 「〜してもらう/貰う」

こうした語は形が似ているため、初見では判断しづらいものです。
しかし、補助動詞の“役割”を押さえておくと、表記は驚くほどスムーズに統一できます。


■ 補助動詞とは、本動詞に“状態・結果・関係性”などの意味情報を添える語

補助動詞の最も大きな特徴は、
それ単体では動作として成立せず、本動詞の意味に付加情報を与えること です。

補助動詞は、本動詞の後につき、次のような意味内容を示します。

  • 状態・継続:読んでいる/動いている
  • 結果・完了・遺憾:忘れてしまう/壊れてしまった
  • 試行:やってみる
  • 受益・授受:説明してもらう/案内してあげる
  • 依頼:確認してください
  • 前準備:資料をまとめておく
  • 変化の進行:増えていく/深まってくる

これらはもともと自立した動詞ですが、補助動詞として使われると
本来の意味はほとんど失われ、文法的な役割だけを果たす語になります。

■ なぜ補助動詞は「ひらがな」にするのか

補助動詞は“行為としての意味”を持たず、文法情報を補う語のため、
現代の実務文書ではひらがなにするのが基本です。

漢字にしても誤りではありませんが、

  • 行為の意味が不自然に強く見える
  • 文章が固くなる
  • 媒体内で統一しづらい

といった理由から、社内報のように読みやすさを重視する文書では
ひらがな表記に統一するほうが適切といえます。

■ 動作として意味がある場合は「漢字」になる(=補助動詞ではない)

次のように “行為そのもの” を示す場合は、補助動詞ではなく本動詞なので漢字にします。

  • 写真を頂く(=もらう動作)
  • 判断を下す
  • 工場を見て回る

👉 補助動詞か本動詞かの判断基準は
“そこに動作があるかどうか” です。


■ 校正で直したほうがよい補助動詞の例(社内報で頻発)

補助動詞まわりは、“誤り”ではなく“表記の不統一”が最も起きやすい部分です。
以下は、特に誤用の多い例を整理したものです。

① いただく/いたす の統一

Before
ご協力頂き、誠にありがとうございました。
急ぎご連絡致します
After
ご協力いただき、誠にありがとうございました。
急ぎご連絡いたします

② 〜てほしい(希望)

Before:早めに共有して欲しいです
After:早めに共有してほしいです

③ 〜ておく(準備)

Before:資料を確認して置いてください
After:資料を確認しておいてください

④ 〜ていく(進行)

Before:活動を広げて行きます
After:活動を広げていきます

⑤ 〜てしまう(完了・遺憾)

Before:ファイルを削除して仕舞いました
After:ファイルを削除してしまいました

⑥ 〜ください(依頼)

Before:ご覧下さい
After:ご覧ください


■ FAQ(よくある質問)

Q1|補助動詞はすべてひらがなに統一すべき?

A|原則ひらがな。ただし、社内の表記方針がある場合(社長あいさつは原文ママ等)は方針を優先します。

Q2|ゆれている場合はどうすれば?

A|“動作の有無”で補助動詞と本動詞を判断し、補助動詞ならひらがなに統一します。
媒体の表記ルールに明記すると再発防止になります。

Q3|漢字のほうが丁寧に感じるのですが?

A|丁寧さは漢字かどうかではなく、文脈で決まります。
補助動詞はひらがなのほうが読みやすく、現代文では一般的です。


■ まとめ — 補助動詞は“意味の主役ではない”。だから表記の統一で読みやすさが変わる

補助動詞は、本動詞の動作に「状態」「結果」「依頼」「受益」などの情報を加える語です。
文章の主役ではありませんが、ここがゆれると“違和感”が大きくなります。

  • 補助動詞は ひらがなに統一
  • 本来の動作なら 漢字
  • 媒体全体のルールに沿って表記をそろえる

この3つを押さえるだけで、社内報は格段に読みやすくなります。


■ 当社の制作サポートについて

株式会社ユー・エス・エスでは、
社内報・広報誌における表記統一・校正・編集サポートから、
デザイン、写真補正、印刷、Web展開まで

一貫してご支援しています。

「読みやすさをもっと高めたい」
「校正の基準を整えたい」
「制作フローを効率化したい」

といったニーズにも柔軟に対応いたします。
お気軽にご相談ください。

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