こんにちは。
東京文京区 護国寺 の 文字校正が得意なデザイン会社、株式会社ユー・エス・エスです。
広報や社内報の文章を書いていると、「まったく」か「全く」かで迷ったことはありませんか?
声に出して読むと同じ響きですが、実はこの2つ、意味の違いではなく「見せ方」の違いがあります。
どちらを使っても間違いではありませんが、読む人に与える印象や文章全体の読みやすさに影響します。
たとえば、社外向けの報告書で「まったく問題ございません」と書くと、少しやわらかい印象になりますが、「全く問題ございません」とすれば、ぐっと公的で引き締まった雰囲気になります。
逆に、社内報の座談会記事で「全く、その通りですよ!」と漢字にすると、会話の柔らかさが薄れてしまいます。
まずはルールから。
「全く」は副詞で、「完全に」「本当に」という意味を表します。常用漢字表にも載っており、公用文や報告書、公式発表などのかっちりした文章では漢字表記が基本です。
これは、官公庁や企業の正式文書の多くで採用されている「公用文作成の要領」にも沿った書き方です。
例:
こうした文では、漢字の重みが「きちんとしている」印象を与えます。
特に株主総会の議事録や契約書類など、信頼性が求められる場面では、ひらがなではなく漢字を選びましょう。
一方、ひらがなの「まったく」は、やわらかく親しみやすい印象を与えます。
広報誌、ブログ、SNSなどの読み物では、漢字よりも視認性が高く、スムーズに読めるため、読み手のストレスを減らせます。
例:
こうした文章は、読む人の脳にスッと入る「会話文のようなリズム」を持たせられるため、情報を伝えるだけでなく、感情や温度感まで届けたいときに向いています。
感情を表す場面では、「まったく」のほうが自然です。
例えば「まったく、困った人だ」という文章。これを「全く、困った人だ」とすると、やや硬い印象になります。
対話調や軽いツッコミのニュアンスを表すには、ひらがなのほうがしっくりきます。
これは、新聞やテレビの字幕などでも同様で、感情表現や会話再現の場面では「まったく」が多用されます。読み手が一息で理解でき、口語感が伝わるためです。
以下は、広報業務でよくある場面別のおすすめ表記です。
このように、同じ言葉でも場面によって表記を変えると、文章全体の雰囲気が整い、読み手の印象も安定します。
実務では、表記を間違えると読み手の印象を損なうことがあります。
こうしたミスを防ぐには、制作物ごとに表記ルールを事前に決めておくことが大切です。
社内で一貫性を保つためには、以下の手順がおすすめです。
こうしておくと、新任の広報担当者でも迷わず対応できます。
文章の読みやすさは、単語の意味だけでなく文字の形や長さにも左右されます。
漢字は形が複雑で視覚的な情報量が多いため、文章に並びすぎると固い印象になります。
ひらがなを適度に混ぜると、文章に「呼吸」が生まれ、視線が自然に流れます。
「まったく」と「全く」の選択も、このリズム作りの一部です。
広報担当者は、単語レベルでの選択が読みやすさ全体に影響することを覚えておきましょう。
当社では、社内報や広報誌、プレスリリースなど、さまざまな媒体での原稿校正・表記統一・読みやすさ改善をお手伝いしています。
「どちらを使うべきかわからない」「媒体ごとのルールを作りたい」という場合も、経験豊富なスタッフがサポートいたします。
お気軽にご相談ください。